<桃の節句> 節句は、本来節供と書きます。この「供」という語には、人々がともに同じ飲食を、同じ場において賜る(たまわる)という意味が含まれています。
昔は、山や,川で穢れを祓った後、よもぎなどを採って食事を作り、一同そろって膳を共にしたといわれています。そして、餅やあられには、この季節に特に補給しなければならないデンプンが多く含まれており、それぞれに深い意味が込められています。
桃の節句といわれるのは、桃のお酒や桃の花を供えるところからきているそうです。桃は、古代中国では、邪気を祓う仙木と考えられていたことから、桃の酒を飲む習慣ができたといわれています。 日本でも魔よけとして桃の木を用いることが多く、神符なども「桃符」とよばれることがあります。また、桃の葉は、汗疹やただれに効き目があり、浴湯に入れたりします。そういえば、桃の絵の描かれた、ハンドクリームなどありますね。 この桃の酒に白酒がそえられたのは、紅白にしてめでたさをあらわしたのかもしれません。 菱餅も雛檀に欠かすことのできないお供え物です。一般的に紅白緑の三層で、この三色にも意味があります。 赤のクチナシが解毒剤。白の菱が血圧降下剤。緑の蓬が造血剤。また、菱餅のひし形は、心臓の形をあらわしたものだという説もあります。 何気ないお供え物の中にも、娘の長命を願う心が込められているのですね。 各お節供ごとにお節供にちなんだ、お供え物があって、それぞれに込められた意味を想像しながら頂くと、行事も思い出深いものになるような気がします。 30年以上前になりますが、小学校の給食で、ひな祭りの日には、菱餅の形をしたゼリーが出てきて、その日の給食の時間は、みんな興奮気味で味わって食べた記憶が残っています。食べ物とつなげると人は、記憶に残りやすいのでしょうか? 参考文献:現代こよみ読み解き事典 柏書房
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お宮の四方山話 蟻通神社の権禰宜 2011年03月03日 |
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